ふくろうと金色の風が舞う古民家カフェ
フクロウのとまり木自然が溢れ、ゆっくりと時間が流れる能勢の地。夕暮れ時には「金色の風」が吹き渡る、そんな場所に築100年余りの趣ある古民家で営まれるカフェがあります。
それが、「フクロウのとまり木」。
今回は、この古民家カフェを営む井上広人さんと幸子さんご夫婦にお話しを伺いました。
お店の「ママ」になりたい。長年の夢を叶えてお店をスタート
お店の「ママ」になりたい。長年の夢を叶えてお店をスタート
元々は小学校教諭だったというお二人。定年退職後、「飲食店をやりたい」という幸子さんの長年の夢を叶えるため、このお店をはじめることを決めたそうです。
―お店をはじめたきっかけは?
幸子さん:「ずっと飲食店の『ママ』になってみたかったんです」
広人さん:「能勢を選んだ理由は、僕が昔から能勢にゆかりがあったからです。ボーイスカウトや虫取りでよく能勢を訪れていました」
こうした幸子さんの夢と、能勢との長年の縁もあって、能勢の地で古民家カフェをスタートされました。
お客さんとのコミュニケーションを大切にする「お客さんノート」
お客さんとのコミュニケーションを大切にする「お客さんノート」
幸子さんは「お客さんノート」をつけています。お客さんと話した内容や、言われて嬉しかった言葉などを丁寧に、詳細に書き留めているとのこと。
幸子さん:「料理を美味しいと言っていただいたり、お店を綺麗に掃除していることを褒めていただけるととても嬉しくて。忘れないようにと、書き留めているんですよ」
そうにこやかに語る幸子さん。この素敵な習慣が、お店の温かい雰囲気を作り出しています。
季節に合わせたお食事
季節に合わせたお食事
フクロウのとまり木さんで提供されるのは、能勢の旬の野菜やお肉など、地元の食材をふんだんに使った料理。
秋冬は長芋、なす、栗、能勢湯豆腐、能勢黒牛や、お隣の亀岡産若鶏など。
スペシャルコースのメニュー(6月)※季節やタイミングによりメニューが異なります。
◦旬菜三種盛り
・そら豆塩ゆで(能勢産)
・なすと厚揚げの煮物(大阪府かなん産)
・夏野菜人参ドレッシング添え(能勢産)
◦季節の茶碗蒸し(山森養鶏場の卵、亀岡産若鶏)
◦能勢湯豆腐
◦能勢黒牛、合鴨ロースト、亀岡産若鶏の陶板焼き
◦羽釜ご飯(能勢産キヌヒカリ)
炊き込みご飯の場合(椎茸、人参、薄あげ、亀岡産若鶏)
◦おすいもの、香の物
◦本日のデザート
果物、自家製デザート
(コーヒーまたは紅茶付)
ふくろうモチーフのインテリア
ふくろうモチーフのインテリア
縁起物としてふくろうが好きになり、いつの間にか集め始めたそうです。庭や店内の壁、傘立て、箸置き、時計……あちこちにふくろうがたくさん。
その数は、幸子さんでも数えきれないほどです。まるで宝探しをしているような気分に。
母屋に加えて、広人さんがDIYで改修したデザートハウスもあり、そこにもふくろうがいっぱい。窓からは小川や田畑、山々が見え、田園風景が広がっています。
「春夏秋冬、色んな景色を楽しめます。どの季節に来ても楽しめると思います」という広人さん。
夕方頃に吹く金色の風をぜひ実感して
ーーー「能勢の暮らしで「ここは自慢したい!」というところを教えてください。
広人さん:「能勢の暮らしで「ここは自慢したい!」というところ。それは
夕方頃に吹く金色の風
です。ぜひこれを体感してほしいと思います。中々言葉では表現しにくいのですが、見たらすぐに分かると思います。都会でも田舎でも、この金色の風が吹く時間帯というのがあるんですが、能勢のようなのどかな場所だと、その時間がより如実に感じられます」
金色の風、とても詩的で素敵な言葉です。能勢のような場所では、物や建物、人、情報が少ない分、自然の豊かさに目を向ける機会が多いのかもしれません。
時間がゆっくりと流れる能勢で羽を休めるひとときを
時間がゆっくりと流れる能勢で羽を休めるひとときを
ーーー能勢を一週間旅するとしたらどのような過ごし方がおすすめですか?
広人さん:能勢を一週間旅するとしたら、自転車での散策や、のんびりと過ごす時間をおすすめします。そして、ぜひ金色の風を実際に見てほしいです。一週間滞在すれば、その風景に出会えると思います。
温かく、誠実なお二人の人柄が料理やインテリアに表れていて、時間がゆっくりと流れています。それがとても心地よく、「このままここに泊まってしまいたい」と言うお客さんもいらっしゃるとか。
「フクロウのとまり木」で、羽を休めるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
取材日:2024/06/22 文:西山明日香 写真:佐田雄一