能勢の自然が生み出す豊かな色彩を楽しむ
染めどころ ゆう能勢町長谷地区の高台にある工房からは、棚田の原風景が一望できる。
途中の坂道は勾配がきつく、やっとの思いでたどり着くと、気持ちの良い景色が目の前に広がる。
全国各地で学んだ伝統の染め技法
工房を営む山本有子さんにお話を伺った。
最初は染め教室をやるつもりは全く無かったそう。自分の趣味である「染め」をいつでも好きなときにできるようにと、この古民家を見つけた。
大阪府豊中市に住み、長年教師の仕事をしていた有子さん。趣味の染めは30歳頃から始め、各地を訪れて伝統の染め技法を学んだ。
趣味で続けていた染め作品を見た近所の方から口コミが広まり、次第に染めを教えるようになった。
今ではなかなか予約が取れないほどたくさんの方が教室に通っている。
草木染めストールの説明をしてくれる有子さん。
藍染めの色合いを確認する有子さんと生徒さん。
自然豊かな能勢は原料になる植物が豊富
染めどころゆうさんでは、草木染め体験を行っている。半日コース(3,000円〜)か一日コース(5,000円〜)が選べる。時間や料金などの詳細は電話にて。すでに予約が埋まっていることもあるので、一ヶ月前までに必ず電話予約を。
草木染め体験では、まず植物を採取するところから始める。季節ごとの草木を使って、好きな色で染めることができる。
自然に囲まれた空気の綺麗な場所だから、染めの原料となる植物は無限大。
春なら梅や桜、夏なら藍の生葉染めやマリーゴールドがおすすめ。秋なら栗やクチナシ、冬なら槙(まき)など。季節ごとに染める材料を変えて楽しめる。
松ぼっくりのような植物は、染めに使ったあとのヤシャブシ。渋い色味が出る。
多様なコースで自分好みの染めを楽しんで
藍の葉を発酵させた蒅(すくも)を使った伝統的な藍染めも体験することができる。
「藍を育てる一年」というコースもある。藍を育て蒅を作り布を染めるという、藍染めの全てを体験できる。2月から12月までの期間、土づくりから種まき、収穫蒅作りなどを月一回のペースで行っていく。
「草木染教室展」が開催され、完成した生徒さんたちの作品を誰でも見ることができる。
現在、このコースは満員のため新規募集はしていないそうだが、空席ができればこちらも参加可能。
多様なコースがあり、自分好みの染め体験を楽しめる。興味のある方はぜひ問い合わせてみてほしい。
取材日:2023/12/22 文:大池 結香 写真:喜村 愛